剪定鋸用の柄ができるまで

 りんご農家の中には、普段使っている道具にこだわっている人もいます。私もその一人なのですが、 中でも特にこだわっているのが、鋸の柄です。 

 使う樹の種類や、使う部分によって色や木目、重さが違い、一本として同じものはありません。 それでは、弘前市原ヶ平の斎藤鋸店店主 斎藤知雄氏の協力を得まして、鋸の柄ができるまでの行程を紹介します。 

 まず、鋸の柄に適した木を一枚板に製材し、樹が反り返らない(くるわない)ように最低でも3年以上、 できれば10年以上かけて自然乾燥させます。そうした一枚の板の中から、特に木目が良い部分を切り出します。 写真の樹は「神代欅(じんだいけやき)」といって樹齢数百年のけやきの樹が千年以上土に埋もれたもので、大変貴重で高価なものです。この板からは一本の柄しか取れません。 

 このように、木目や腐ってるところを除きながら柄となる部分を長方形に切り出します。写真の木は「かりん」です。 

 上の写真の板から、凡そ柄の形に切り出し、鋸をしまいこむ部分に、電動の丸鋸を使って溝を掘り込みます。 上は槐(えんじゅ)の9寸用、下は黒檀(こくたん)の1尺用の柄です。 

 今度は、サンドペーパーなどのヤスリで、角をとり、全体を滑らかに仕上げます。その後は、鋸と柄をつなげる金具を取り付けます。 上は「かりん」、下は「黒柿(くろがき)」です。 

 私は更に、晒し(さらし)や手ぬぐいにクルミの実をくるんで、油が出るまで良く潰し、それで柄を磨いています。 そうすると益々木目の光沢が鮮やかに浮き出てきます。 

 最後は手打ち鋸を取り付けて完成です。 

 出来上がった柄です。左から「かりん」、「さくら」、「桑(くわ)」、「黒柿(くろがき)」、 「黒檀(こくたん)」、「槐(えんじゅ)」です。 

 いずれの木も床の間や囲炉裏などに用いられる高級木材ばかりですが、 それを剪定用の鋸の柄に使う農家の道具に対するこだわりを伝えたいと思って紹介しました。 使い捨ての鋸が主流になりつつある昨今ですが、こうしたものを使い続けていきたいと思っています。 この鋸の柄や鋸に関する問い合わせはこちら。 

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