りんごについて

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りんごの品種

トキ

トキ

 
この品種は、青森県五所川原市の土岐傅四郎氏が1985年(昭和60年)に「王林」に「ふじを交配して出来たりんごの種を蒔いて育種した品種で、2001年(平成13年)に青森県の㈱原田種苗が種苗登録を出願、2004年(平成16年)に登録された品種です。

 

食味抜群の黄色品種


 品種の特徴として色は黄色、大きさは300~400㌘くらいで、果形は円形、果皮は薄くて果肉は硬くてしっかりしています。糖度は熟したものでは15度以上と甘味が強く果汁も多いので食味は抜群!国内はもちろん台湾など海外でも人気が高いりんごです。収穫時期は9月最下旬からです。

 

産地では“早もぎ”が問題


 食味が最大の魅力である「トキ」ですが、生産量が少ないことから国内に充分な量が流通しているとは言えない状態ですが、この品種が大人気となっているのが台湾です。
 台湾では旧暦の8月15日を“中秋節”といって日本のお盆のように家族が集まる風習があるのですが、その時にりんごの需要が一気に高まる傾向があります。以前そのタイミンで「トキ」が台湾国内に出回ったところ、その食味の良さから一気に人気が高まり、青森県内の流通関係者は“輸出りんごの第一陣は「トキ」”というほどになりました。
 ところが年によって中秋節は毎年異なりますし、日本から台湾にりんごを輸出する場合は船便を用いますので到着するまで凡そ2週間かかります。そうすると、台湾の中秋節に合わせるため早くに「トキ」を輸出しようという関係者が出てきました。本来この品種が美味しくなるのは9月下旬なのですが、早く収穫して市場に出荷する生産者が出てきました。そしてこのような“早もぎりんご”が高い値段で競り落とされたことによって、それに触発された一部の生産者までもが“早もぎ”をするという問題が起こりました。
 この問題については、大変デリケートな問題です。生産者、市場関係者、輸出業者などこれに係る関係者すべての問題です。流通業者も生産者も高く売れるのは何よりの魅力ですが、味が伴わないものはいずれ消費者に見放されます。
 数年前には台風が接近するということから落果被害を恐れた生産者が、味がまだ十分ではないことは承知の上でやむなく収穫し市場やJAに出荷したことがありました。この年、国内をはじめ台湾などには食味不十分の「トキ」が大量に出回りました。当然美味しくない「トキ」は売れ残り、評判は落ちてしまいました。その後「トキ」の信頼を回復するまで数年を要しました。
 一時の、そして自分だけが高く売れればいい、自分だけが儲ければいいという考えが、その品種や多くの生産者に悪影響を及ぼすということは過去の歴史でも明白です。りんごに係るすべての関係者が自制しなければならない問題です。