りんごについて

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りんごの秘密

美味しいりんごはここに成る!

りんごの美味しさとは?

まずはじめにりんごの美味しさとは何かということから簡単に説明しますね。 
りんごには数多くの品種がありまして、それぞれの品種ごとに色や形、そして味が全部違います。
りんごの食味をわかりやすいように大きく分けると、「甘い」「甘酸っぱい」「酸っぱい」の 3つです。ただし「甘い」にもその程度が様々です。 

 

この食味をあらわす指標に「糖酸比(とうさんひ)」(甘味度ともいう) というのがあります。これは「糖度÷酸度」によって決まる値ですが、一般にはこの値が30~40が美味しいとされていて、専門的にいえば、 糖酸比がこの間に入る品種の食味は「甘酸適和(かんさんてきわ)」というように云われ、 多くの消費者に受け入れられる味ということがいえます。そして、この値が低くなると酸っぱく、 高くなると甘いということになります。 

 

皆さんに一番なじみのある「ふじ」の糖酸比は凡そ31、黄色りんごの代表品種「王林」は 凡そ41くらいとなっています。一方懐かしいりんごの代表品種「紅玉」は16と、 数字でも分かるとおり、酸っぱい品種です。

 

この様に品種によって味が違うのはもちろんなのですが、それぞれの土壌条件、 たとえば山の傾斜地と以前は水田だったりんご園でも味は違いますし、 樹の樹齢によっても微妙に味が違ってきます。この土壌についてはまた別の機会にご紹介します。 

 

美味しいりんごが実る場所

さて私が思うに、同じ糖酸比でも食味が違うことがあると思ってます。 それは歯ざわり(食感)であったり、味の深さ(コク)であると思っています。 
コクのある美味しいりんごを作るためには様々なポイントがありますが、 今回は美味しいりんごがなる箇所についてすこしお話します。 

 

「花芽」と「葉芽」

まず、りんごの芽には大きく分けて「花芽」と「葉芽」がありまして、 剪定の際はこの二つの芽を見分ける必要があります。その理由は、りんごは「花芽」に成るので、 葉芽だけを残すとりんごが成らなくなってしまうからです。 硬い殻に覆われた芽を剪定の時期に見抜くのはそれなりの眼力が必要です。 

 

また、この花芽にもいいりんごが成る花芽というのがあります。 いいりんごとは「大きいりんご」とか「美味しいりんご」という意味ですが、 私の場合はその双方を考えながら「その品種本来の大きさで味にコクのあるりんご」と考えています。 
それではそんなりんごがいったいどんなところに成るか、写真で紹介します。

 

去年りんごを成らせたところから出た枝の先に着いた花芽

 

まず、一枚目の写真ですが、これは今年初めてりんごを成らせる一年目の若い花芽です。 ここに成るりんごは、大きく見栄えはよいのですが味のコクと色の鮮やかさがまだ品種本来のものでないと考えます。 

 

枝齢を重ねた枝

 

二枚目の写真ですが去年りんごを成らせたところから出た枝の先に着いた花芽で、ここに成ったりんごは一般に果実の伸びがいまいちです。理由は、ここの一箇所の部分でりんごも大きくしながら次の年の花芽も作るというように、一つ部位で二つの仕事をしたので花芽の充実具合が足りません。 私の場合、こうした花芽、つまり去年成ったところには今年りんごを成らせず、一年休ませ、来年成らせるようにします。 

 

理想的なりんごの枝

 

三枚目は二枚目の写真で説明したことを繰りかえし、枝齢(しれいといって枝の年数のこと)を重ねた枝です。 こうした枝は円熟枝(えんじゅくし)といい、味にコクのあるりんごが成ります

また、皮が薄く、色も鮮やかです。ただし、こうした枝だけをつけておくと樹が弱ってしまい、 果実も大きくなりません。ですから、写真の一も二も必要ですし、またりんごを成らせない枝も必要なのです。 

 

まとめ

りんごを成らせてる枝にも、一年生のものから十年生くらいのものまで、置いていく必要があるのです。 大きさだけ求めるのなら若い枝(芽)を、味を求めるのなら枝齢を重ねた古い枝を付けておけばいいのですが、 そのちょうど中間の枝についた芽に成ったりんごが一番理想的なりんごと考えています。 

 

美味しいコクのあるりんごとは、ズバリ「古い枝(枝齢を重ねた)の 新しい芽(前年りんごを成らせなかった芽)」に成るということです。 これが技術で出来る究極のりんごです。 
この究極の品質のりんごを作るためには剪定という作業はとても重要なウエイトを占めますが、 その他の作業もとても大切ですので、追ってまたご説明していきたいと思ってます。