りんごについて APPLE 記録 令和4年8月大雨に伴うりんご園の被害 令和4年8月3日、9日と立て続けの大雨 令和4年8月、青森県の津軽地方では短期間のうちに2度にわたって記録的な大雨を観測。3日には本県津軽地方で初の線状降水帯が発生し観測史上最大の記録と各地方新聞が紙面に大きく掲載。住宅への浸水被害や道路の崩落、線路への被害など各地に大きな被害を及ぼしました。 りんご園の被害も甚大で、平川と岩木川という2つの川が合流する下流域では一気に水かさが増し、およそ500㌶にわたってりんご園が冠水。深いところでは3メートルくらいの水に水没した園地もあります。 私は、公益財団法人青森県りんご協会職員でありますので、3日の夕方早速現地に向かい、堤防からりんご園を見ていましたが、そこから見るりんごの樹は地上から7~8割も水没していました。りんご園から水が引いた8日現地に入るとご覧の通り。手を伸ばし背伸びする範囲のりんごはほとんど腐り始めていました。 被害に見舞われた園地では、りんごの樹についたゴミや泥を水で洗い流したり片付ける人の姿が多く見られました。 また、ボランティアの姿もありマンパワーの大切さとありがたさをつくづく感じました。 9日には更に上回る被害と大雨が… こうして、りんご園の片付けも進む中でしたが、9日にはこれを上回る大雨が降り、弘前市ではたった12時間の降水量が202.5㍉を観測。8月一カ月間の平均降水量139.1㍉を大幅に上回る記録的な大雨でした。雨はその後も数日間続き、各地では数日前を上回る水害に見舞われました。 9日午後4時には現地に赴き、堤防からりんご園のある方向を見てみると、そこにはほぼ水没してしまった景色が…。3日の時よりもこの時点で1~1.5㍍ほど水位は高くなっていました。 弘前市大川地区のりんご園では水面から50センチくらい枝が出ているだけ。小屋も流されていました。 水没するりんご園を見ているしかできない生産者たち。 水が引いたりんご園は壊滅的な被害があらわに 雨の後、ようやく水が引き始めたのは13日の午後頃からでしたが、まだまだ園地に入れる状態ではありませんでした。 それからも毎日のように園地に赴いて水の引き具合を見ながら被害を受けた農家の声を聴いて回りました。 ようやくりんご園に入れたのは16日でした。その時の写真が次の1枚です。 りんごの樹には前回をはるかに上回る大量のゴミや泥がついており、園地にいると“ボタッボタッ”とりんごが落ちる音がします。 更にそれから数日してから改めて園地に行ってみるとほとんどのりんごが落ちてしまっていました。 りんご園には農家の人の姿もほとんどなく、人気もりんごも成っていないあまりにも悲惨な様子しかありませんでした。 被害額や被害面積も甚大なものに 今回の被害の詳細は現時点(令和4年8月27日現在)で分かり切っていませんが、過去の例からも面積は500~550㌶くらいになると思われます。 冠水被害に見舞われた市町村の中で弘前市は8月25日、りんご園の被害状況について、浸水面積は301.2㌶、うち樹冠浸水272.3㌶、被害額は7億5357万8000円に上ることを明らかにしました。 2013年(平成25年)にもこれと同面積程度の被害に見舞われていますが、その時に比べて今回の被害額は約2倍となる試算を出していますが、この理由として、平成25年の時は9月中旬の被害だったので早生品種の収穫は終えられていましたが、今回はすべての品種が被害を受けたことや、冠水した深さが前回を大幅に上回ったことなどをあげています。 被害の詳細は今後更に明らかになってきますが、かなりなものとなることは確実です。 今は何よりも被害を受けた生産者の心身的経済的なケアのため考え付くことを行政などに提案し、行動を起こしているところです。 しかし、この地域でのりんご産業を考えるとき、将来を見据えた対応や英断も不可欠だとつくづく感じております。 PREV 一覧に戻る NEXT
令和4年8月3日、9日と立て続けの大雨
令和4年8月、青森県の津軽地方では短期間のうちに2度にわたって記録的な大雨を観測。3日には本県津軽地方で初の線状降水帯が発生し観測史上最大の記録と各地方新聞が紙面に大きく掲載。住宅への浸水被害や道路の崩落、線路への被害など各地に大きな被害を及ぼしました。
りんご園の被害も甚大で、平川と岩木川という2つの川が合流する下流域では一気に水かさが増し、およそ500㌶にわたってりんご園が冠水。深いところでは3メートルくらいの水に水没した園地もあります。
私は、公益財団法人青森県りんご協会職員でありますので、3日の夕方早速現地に向かい、堤防からりんご園を見ていましたが、そこから見るりんごの樹は地上から7~8割も水没していました。りんご園から水が引いた8日現地に入るとご覧の通り。手を伸ばし背伸びする範囲のりんごはほとんど腐り始めていました。
被害に見舞われた園地では、りんごの樹についたゴミや泥を水で洗い流したり片付ける人の姿が多く見られました。
また、ボランティアの姿もありマンパワーの大切さとありがたさをつくづく感じました。
9日には更に上回る被害と大雨が…
こうして、りんご園の片付けも進む中でしたが、9日にはこれを上回る大雨が降り、弘前市ではたった12時間の降水量が202.5㍉を観測。8月一カ月間の平均降水量139.1㍉を大幅に上回る記録的な大雨でした。雨はその後も数日間続き、各地では数日前を上回る水害に見舞われました。
9日午後4時には現地に赴き、堤防からりんご園のある方向を見てみると、そこにはほぼ水没してしまった景色が…。3日の時よりもこの時点で1~1.5㍍ほど水位は高くなっていました。
弘前市大川地区のりんご園では水面から50センチくらい枝が出ているだけ。小屋も流されていました。
水没するりんご園を見ているしかできない生産者たち。
水が引いたりんご園は壊滅的な被害があらわに
雨の後、ようやく水が引き始めたのは13日の午後頃からでしたが、まだまだ園地に入れる状態ではありませんでした。
それからも毎日のように園地に赴いて水の引き具合を見ながら被害を受けた農家の声を聴いて回りました。
ようやくりんご園に入れたのは16日でした。その時の写真が次の1枚です。
りんごの樹には前回をはるかに上回る大量のゴミや泥がついており、園地にいると“ボタッボタッ”とりんごが落ちる音がします。
更にそれから数日してから改めて園地に行ってみるとほとんどのりんごが落ちてしまっていました。
りんご園には農家の人の姿もほとんどなく、人気もりんごも成っていないあまりにも悲惨な様子しかありませんでした。
被害額や被害面積も甚大なものに
今回の被害の詳細は現時点(令和4年8月27日現在)で分かり切っていませんが、過去の例からも面積は500~550㌶くらいになると思われます。
冠水被害に見舞われた市町村の中で弘前市は8月25日、りんご園の被害状況について、浸水面積は301.2㌶、うち樹冠浸水272.3㌶、被害額は7億5357万8000円に上ることを明らかにしました。
2013年(平成25年)にもこれと同面積程度の被害に見舞われていますが、その時に比べて今回の被害額は約2倍となる試算を出していますが、この理由として、平成25年の時は9月中旬の被害だったので早生品種の収穫は終えられていましたが、今回はすべての品種が被害を受けたことや、冠水した深さが前回を大幅に上回ったことなどをあげています。
被害の詳細は今後更に明らかになってきますが、かなりなものとなることは確実です。
今は何よりも被害を受けた生産者の心身的経済的なケアのため考え付くことを行政などに提案し、行動を起こしているところです。
しかし、この地域でのりんご産業を考えるとき、将来を見据えた対応や英断も不可欠だとつくづく感じております。