りんごについて

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りんごの品種

つがる

ゴールデンデリシャスと紅玉の交配品種

 

この品種は青森県りんご試験場(現・りんご研究所)が1930年(昭和5年)に「ゴールデンデリシャス」に「紅玉」の花粉を交配してできた品種で、1975年(昭和50年)に品種登録されています。

 

いろんな名前で呼ばれていた品種


この品種の名前が正式に「つがる」という名称で登録されたのは1975年(昭和50年)ですが、それまではそれぞれの産地でいろんな名前で呼ばれていました。
 この品種は昭和5年に交配したことに始まりますが、その際に花粉の親品種を書いたラベルが落ちてしまったために親は不明でした。そこで昭和6年には“ゴールデン不明”や“不明7号”などと呼ばれていました。昭和33年頃には群馬県で“甘紅玉”とか“甘ゴール”、昭和44年頃には群馬県や岩手県で“高月”と呼んでいました。このほかにも“紅林”(岩手県)、“早生ふじ”(長野県)という名前で呼ばれていたこともありましたが、昭和45年3月に青森県りんご試験場が“ゴールデン不明”から“青り2号”に仮命名しました。
 その後、前述の1975年11月28日付けで「つがる」と名称登録された後に、青森県りんご試験場から群馬県のほうに「高月」から「つがる」の名称に変えてほしいなど要請、一部強い反対もありましたが昭和51年産から「つがる」の名称で流通するようになりました。また韓国では“アオリ”という名前で栽培流通されています。

 

長野県産の“つがる”で人気広まる


青森生まれの「つがる」ですが、人気の火付け役となってくれたのは長野県でした。昭和46年、長野市篠ノ井の共和園芸農協から「青り2号」の名前で出荷された23箱の“つがる”が“ふじ”の価格をも上回る高価格で取引され、日本中の話題となりました。その頃、とある新聞には「甘く果汁の多い肉質のいい最高にうまいリンゴ、早生ふじの出現だ」と絶賛する記事が載ったそうです。

 

甘さが特徴の早生りんごの代表品種


甘さが特徴の早生りんごを代表する品種ですが、特に収穫後は暑さに弱く、食べごろの日にちが短いところがあります。
お手元に届いたら鮮度保持のためにも速やかに冷蔵庫など涼しいところに入れてもらって、できるだけ早く召し上がっていただくことをお勧めします。

 

着色の良い系統が続々と


この品種の欠点の一つに色が着きにくいということがあります。りんごの着色が進む条件として日中(夜間)の気温が20度を下回ってこないとなかなか色づきは進んできません。また、気温が下がらないと着色は進みませんが熟度は進むので、中身と外観の品質が揃ってこないということが起こります。特に近年は全国的にどこの産地でも温暖化の影響で色が着きにくいのが問題となっており、“果肉先行着色不足”の品質となる傾向が強いです。
しかし、りんごの特徴に“枝変わり”といって、同じ樹の枝が突然変異を起こして、着色の良い果実が成るように枝の性質が変異することがあります。近年はそのような枝から穂木をとって接ぎ木をし、その系統が固定したもので苗木を増殖した優良系統が多く出回っております。主な優良系統として“ひらかつがる”“つがる姫”“芳明つがる”“みすずつがる”などがあります。